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【戦略セミナーのお知らせ】
新しいがん免疫療法の幕開け
水曜日, 1月 13日, 2016
教職員ならびに学生の皆様へ
下記の要領で、国立がん研究センター研究所の青木一教先生によるセミナーを開催いたします。
このセミナーは腫瘍医科学研究室が主催する大学院講義(細胞生物学特論Ⅱ)の時間中に 開催いたしますが、受講していない方々にも有意義な内容となっております。 教員、大学院生、学部学生の皆様もぜひご参加ください。
青木一教先生はがん微小環境における免疫応答の分子メカニズムの解明や、それを応用させたがんの免疫療法の開発において先駆的な研究に取り組んで成果をあげておられます。これらを含めた最先端の研究成果も紹介していただけると思いますので、ご興味のある方はぜひご参加ください。
- 日時:1月13日(水)11時10分〜12時40分
- 場所:4302講義室
- 講師:
- 青木 一教 先生
- 国立がん研究センター研究所 分子細胞治療研究分野分野長
- 演題:新しいがん免疫療法の幕開け
- 要旨:
- CTLA-4抗体やPD-1/PD-L1抗体などの免疫チェックポイント阻害剤の登場により、がん免疫療法は新しい時代に入りました。これまでの副作用はないものの抗腫瘍効果もあまり見られなかった時代から、明らかに腫瘍を縮小し患者予後を延長できるようになり、がんの治療体系を変えつつあります。まず、本講演では、がん免疫療法の現状を概説し、今後の展望を明らかとします。しかし、これらチェックポイント阻害剤も、抗腫瘍効果は発揮するものの免疫応答には個体差が大きく、効果がない例も多く、また獲得耐性の出現により結局根治には至らない場合がほとんどです。これらの克服が次の大きな臨床的課題となっています。治療不応性は、がん組織の免疫抑制環境の多様性や生体での免疫応答の複雑さが原因であり、これらはがん細胞の様々な分子遺伝学的異常に起因すると考えられています。そこで、我々は、がんの免疫環境の分子背景を明らかにしようとしています。本講演では、がんの微小環境におけるがん細胞と免疫細胞のネットワークの解析に基づいた新たな免疫治療法の開発についても議論します。
- 文献:
- 1. Narumi K, Miyakawa R, Ueda R, Hashimoto H, Yamamoto Y, Yoshida T, Aoki K. Pro-inflammatory proteins S100A8/S100A9 activate natural killer cells via Interaction with a receptor of advanced glycation endproduct. J Immunol 194: 5539, 2015.2. Hashimoto H, Ueda R, Narumi K, Heike Y, Yoshida T, Aoki K. Type I IFN gene delivery suppresses regulatory T cells within tumors. Cancer Gene Ther 21:532-41, 2014.3. Udagawa T, Narumi K, Suzuki K, Aida K, Miyakawa R, Ikarashi Y, Makimoto A, Chikaraishi T, Yoshida T,Aoki K. VEGF-D-mediated blockade of regulatory T cells within tumors is induced by hematopoietic stem cell transplantation. J Immunol 191: 3440-3452, 2013.
- 主催:腫瘍医科学研究室
- 連絡先:吉松康裕(yoshimat@toyaku.ac.jp)