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【戦略セミナーのお知らせ】
細胞老化の二面性:がん抑制と発がん促進機能について
木曜日, 1月 14日, 2016
教職員ならびに学生の皆様へ
下記の要領で、がん研究会がん研究所の高橋暁子先生によるセミナーを開催いたします。
このセミナーは腫瘍医科学研究室が主催する大学院講義(細胞生物学特論Ⅱ)の時間中に 開催いたしますが、受講していない方々にも有意義な内容となっております。 教員、大学院生、学部学生の皆様もぜひご参加ください。
細胞老化ががんの発生においてどのような役割を果たすかについては近年注目を集めています。 がん研究会がん研究所の高橋暁子先生はこのテーマについて先駆的な研究をしており、最近は老化細胞が産生するさまざまな炎症性タンパク質の発がんにおける役割を明らかにするなど大きな成果をあげておられます。本講演ではこうした内容を含めた最先端の研究成果も紹介して頂きます。ご興味のある方はぜひご参加ください。
- 日時:1月14日(木)17時〜18時30分
- 場所:2204講義室
- 講師:
- 高橋 暁子 先生
- 公益財団法人がん研究会 がん研究所 がん生物部 主任研究員
- 演題:細胞老化の二面性:がん抑制と発がん促進機能について
- 要旨:
- 私たちの体を構成する正常な体細胞は無限に増殖することができず、ある一定の回数細胞分裂を繰り返した後には増殖を停止してしまうことが知られています。つまり正常な細胞には細胞分裂の寿命が存在し、この現象は細胞老化と呼ばれています。細胞老化は、様々な発がん性のストレスによっても誘導され、異常をもった細胞の増殖を不可逆的に停止させることから、アポトーシスと並んで重要ながん抑制機構の一つであることが明らかになってきました。一方で、細胞が死滅するアポトーシスとは異なり、細胞老化を起こした細胞(老化細胞)は生体内に長期間存在し続け加齢とともに体内に蓄積してゆきます。最近の研究によって、体内に溜まった老化細胞がさまざまな炎症性タンパク質を高発現することでがんを始めとする加齢性の疾患を引き起こす副作用があることが明らかになりつつあります。本講義ではがん抑制と発がん促進という正反対の二面性をもつ細胞老化について、これまでの研究成果を紹介します。
- 文献:
- 1.Sato S et al. (2015) Reversing the ageing phenotypes of klotho mice by ablating the p16INK4a tumour suppressor. Nature Commun. 6: 7035
- 2.Imai Y et al., (2014) Crosstalk between the Rb Pathway and AKT Signaling Forms a Quiescence-Senescence Switch. Cell Rep. 7: 194-207
- 3.Takahashi A et al., (2012) DNA Damage Signaling Triggers Degradation of Histone Methyltransferases through APC/C(Cdh1) in Senescent Cells. Mol Cell 45: 123-131.
- 4.Takeuchi S et al., (2010) Intrinsic cooperation between p16INK4a and p21Waf1/Cip1 in the onset of cellular senescence and tumor suppression in vivo. Cancer Res 70: 9381-9390.
- 主催:腫瘍医科学研究室
- 連絡先:吉松康裕(yoshimat@toyaku.ac.jp)