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【戦略セミナーのお知らせ】
遺伝子発現の転写後制御:
選択的プロセシングパターンの生体内可視化と制御機構の遺伝学的・生物情報学的・構造生物学的解析
木曜日, 1月 21日, 2016
教職員ならびに学生の皆様へ
下記の要領で、東京医科歯科大学の黒柳秀人先生によるセミナーを開催いたします。
このセミナーは腫瘍医科学研究室が主催する大学院講義(細胞生物学特論Ⅱ)の時間中に 開催いたしますが、受講していない方々にも有意義な内容となっております。 教員、大学院生、学部学生の皆様もぜひご参加ください。
日時:1月21日(木)13時40分〜16時50分 (3・4限)
場所:2204講義室講師:黒柳 秀人 先生東京医科歯科大学 難治疾患研究所 准教授
- 演題:
- 遺伝子発現の転写後制御:
真核生物のmRNA前駆体は、転写後プロセシングを受けて成熟mRNAとなる。選択的プロセシング(スプライシング・ポリA付加)は、1つの遺伝子から多様な配列のmRNAを産生する仕組みで、タンパク質の多様性に最も寄与している。ヒトでは90%以上のタンパク質遺伝子が何らかの選択的プロセシングを受け、そのうちの多くは組織・細胞種特異的あるいは発生段階依存的な制御を受けている。このように選択的プロセシングは遺伝子発現の重要な制御機構の1つであるが、その分子機構は完全には解明されておらず、「細胞暗号」とも呼ばれる。私たちは主に線虫Caenorhabditis elegansを用いて選択的プロセシングパターンを生体内で可視化し、遺伝学的、生化学的、生物情報学的、構造生物学的な手法を組み合わせて、選択的プロセシング制御の分子機構の解明に取り組んでいる。本講演では、これまでの私たちの研究の手法とその成果を紹介する。
文献:
1. Kuwasako et al. RBFOX and SUP-12 sandwich a G base to cooperatively regulate tissue-specific splicing. Nature Structural & Molecular Biology. 21: 778–786, 2014.
2. Kuroyanagi et al. CELF family RNA-binding protein UNC-75 regulates two sets of mutually exclusive exons of the unc-32 gene in neuron-specific manners in Caenorhabditis elegans. PLoS Genetics. 9: e1003337, 2013.
3. Kuroyanagi et al. Position-dependent and neuron-specific splicing regulation by the CELF family RNA-binding protein UNC-75 in Caenorhabditis elegans. Nucleic Acids Research. 41: 4015-4025, 2013.
4. Kuroyanagi et al. Visualization and genetic analysis of alternative splicing regulation in vivo using fluorescence reporters in transgenic Caenorhabditis elegans. Nature Protocols. 5: 1495-1517, 2010.
5. Ohno et al. STAR family RNA-binding protein ASD-2 regulates developmental switching of mutually exclusive alternative splicing in vivo. Genes & Development. 22: 360-374, 2008.
主催:腫瘍医科学研究室
連絡先:吉松康裕(yoshimat@toyaku.ac.jp)