GREETINGS
ご挨拶

私が2015年7月に東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 硬組織病態生化学分野(現・病態生化学分野)の教授を拝命してから、早いもので10年が経過しました。そして2024年10月、東京医科歯科大学は東京工業大学と統合し、新たに「東京科学大学」として生まれ変わりました。この統合により、医療・生命科学と工学・理学の融合がさらに進み、これまで以上に多様な学問分野が連携することで、教育・研究の新たな可能性が広がることを大いに期待しています。
私はこれまで、細胞の増殖と分化を制御する細胞内シグナルと転写調節が、生体の発生や恒常性維持といった生理的プロセスにおいてどのような役割を果たしているのか、またその破綻ががんや心血管疾患などの病態の発症・進行にどのように関与しているのかについて研究を進めてまいりました。これらの研究を進めることができたのは、ひとえにご指導をいただいた諸先生方、分野の運営に尽力してくださる同僚の先生方、そして共に研究に取り組んでくれた学生の皆様のおかげです。
この10年間で、当分野では10名の博士課程および15名の修士課程の大学院生が学位を修了し、それぞれの道へと巣立っていきました。研究においても、着実に成果を積み重ね、国内外の学会や論文発表を通じて分野の発展に貢献してまいりました。こうした成果を挙げることができたのは、日々熱心に教育・研究活動に取り組んでくれている病態生化学分野のスタッフや大学院生の皆さんの支えがあってこそであり、この場を借りて深く感謝申し上げます。
東京科学大学として新たなスタートを切った今、これまで築いてきた学内外のネットワークをさらに広げ、医療・生命科学と工学の融合による新しい研究の展開を目指していきたいと考えています。また、教育面においても、次世代を担う研究者や医療人材の育成に一層力を注いでまいります。
これからも皆様の温かいご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2025年7月
渡部 徹郎
略歴
- 1984年
- 都立国立高校 卒業
- 1988年
- 東京大学 農学部農芸化学科 卒業
- 1990年
- 東京大学大学院 農学系研究科 修士課程 修了
- 1997年
- カリフォルニア大学アーバイン校 生物科学系研究科 博士号(Ph.D.)取得
- 1997年
- カリフォルニア大学ロスアンゼルス校 研究員
- 2000年
- (財)癌研究会癌研究所 生化学部 嘱託研究員
- 2001年
- 東京大学大学院 医学系研究科 分子病理学分野 助教・准教授
- 2013年
- 東京薬科大学 生命科学部 腫瘍医科学研究室 教授
- 2015年
- 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 硬組織病態生化学分野(現病態生化学分野) 教授
- 2018年
- 東京医科歯科大学 副理事(広報担当)(~2019年3月)
- 2019年
- 東京医科歯科大学 歯学部長・大学院医歯学総合研究科副研究科副研究科長
(~2020年3月) - 2020年
- 東京医科歯科大学 副理事・副学長(研究展開・URA・データサイエンス担当)
(~2021年3月) - 2022年
- 日本血管生物医学会・理事長
- 2024年
- 東京医科歯科大学歯学部 副歯学部長
- 2024年
- 東京科学大学大学院 医歯学総合研究科 病態生化学分野 教授
(統合に伴い10月より)